11/4 横浜マリノス株式会社本社にて、西野努スポーティングダイレクター契約満了に関する中山昭宏代表取締役社長の囲み取材が行われました。
Q. 西野スポーティングダイレクター契約満了の経緯と理由について
ちょうど1年前、我々横浜F・マリノスが日本を代表してアジアで勝ち、そして世界で戦うという成長戦略を描いているなかで西野さんに来ていただきました。西野さんが来てからも、クラブの成長戦略を実際に作っていただきましたし、またシティ・フットボール・グループとのさらなるコミュニケーション・連携についてチーム統括の検討もしてもらいました。彼には1年間でありましたが、ご尽力いただきクラブとして感謝しています。一方で、クラブが目指す姿に対して、現在も含めて年間を通じてJ1リーグの残留争いをしているというこの現状、今シーズンを振り返ったときの結果に対しては、クラブとして真摯に受け止める必要があると考えています。我々が西野さんと一緒に目指す姿に対しては道半ばではありますが、今シーズンの結果と現状を総合的に検討した結果、今回の判断に至りました。私自身も断腸の思いであります。西野さんがこの1年間でクラブのために築いてくださったこと、貢献してくださったことについては財産として引き継いで来シーズン以降の我々の成長につなげていかなくてはいけないと考えています。今シーズン、まだ残り3節あり、一つも落とせない。引き続きチーム一丸となって、クラブ全体、マリノスファミリーのお力を借りながら一試合一試合戦っていきたいと思います。
Q. 決断されたのはいつごろ?
リリースの前には本人と話をしていました。もちろんチームが最優先なので、ご本人と話しながらリリースのタイミングを決めていきました。
Q. 夏の補強など良かった部分もあり西野スポーティングダイレクターには来季もあったのではと思うが?
彼がやってくれていたのは、夏の補強だけではなく、クラブのなかでもいろいろなことをやっていただいたので感謝するところは多くありました。夏の補強がうまくいき始めているというのはひとつあると思いますが、今シーズンの結果と現状をみたときに総合的な検討をした結果とご理解いただければと思います。
Q. 今後の強化責任者については?
まだ今シーズンは12月までありますし、来シーズンに向けての検討の開始も含めて現在のチーム統括の体制で進めていく。現在の不足している部分について、サポートするなどを検討していきます。
Q. 今シーズン終了後に新たなスポーティングダイレクターを招聘することは?
まさにいま検討しているところです。
Q. 元々社長がスポーティングダイレクターを兼任していたなかで、スポーティングダイレクターという役職を置こうとなったと認識しているが、専任がいたなかでうまくいったところいかなかったところを総括すると?
スポーティングダイレクターというポジションが3年前から空席になっていたが、その状態が良いということはなく、やはりそこにきちんとした方がいるというのがあるべき姿だと思います。その上で西野さんに来ていただき、クラブとして成長戦略の部分や、フィロソフィーの落とし込みをやっていただいた。そういう部分でスポーティングダイレクターだからということではないかもしれませんが、責任者としてそういう戦略を考えるというのはあるべき姿だと思っています。
Q. スポーティングダイレクターを置くということ自体はポジティブだったと思うが、うまくいかなかった要因は?
ひとつは監督が2度交代するということがありました。監督交代の経緯については西野さんから説明があったと思いますが、そこでF・マリノスのサッカーとしてリカバリーしきれなかったことが年間を通してありました。
Q. F・マリノスのサッカーでは、アタッキングフットボールというものがあると思います。今後、どのようなサッカーを目指していくのか?アタッキングフットボールという言葉にとらわれすぎていないか?
アタッキングフットボールをもう一度ブラッシュアップしている。それをやるなかで、F・マリノスのアタッキングフットボールとはこれだというものをチーム統括のなかで考えている。それらを踏まえて、来シーズンにつなげたいと思う。
Q. そこが今シーズンうまく打ち出せていなかった?
監督のスタイルとクラブが考えるスタイルがどの次元で融合するかというところですが、そこが試合の結果にうまくつながらなかったと思います。
Q. 満了のリリースはなぜこのタイミングだったのか?残留が決まるかどうか結果を見てからでもよかったのでは?
タイミングを考える上では、トップチームが第一優先であるということです。それ以外に関係する皆さんの状況を確認しながらでしたが、最終的には西野さん本人と相談をしたことも含めて、チームにとってこのタイミングが一番適切だと思い、実施したということです。
Q. シティ・フットボール・グループとの関係性を強化する意味での招聘だったと思うが、今後の変化については?
当然、西野さんが来てくださったことによりそれが以前より活性化した側面があります。変化は起こりうると思いますが、それを継続する体制ができつつあります。登場人物は変わると思いますが、それにより大きく変化するとは思っていません。
Q. この決定にシティ・フットボール・グループも関わっているのか?
シティ・フットボール・グループも日産自動車も株主や親会社であります。経営的には我々横浜マリノス株式会社が最終判断をしますが、その途中で彼らの意見があるというのは本件に限らずあることです。
Q. 来シーズンの編成の部分は現体制でやっていくとのことだが、残留も決まっておらず、チーム強化で遅れをとる部分があるかと思うが、いま大事にしなければいけないことは?
我々としては、J1リーグに残留することを前提にして組み立てています。
Q. 契約満了ということは契約は1年だったと想像しますが、様々な構築があるなかで1年では仕事は終わらないとご本人も思っていた部分があると思います。単年契約だったのはどういった背景があったのか?
契約のことなので細かいお話はできないですが、西野さんといろいろな会話をしているなかで、今回その契約でスタートしました。
Q. 1年1年、成果を測ってもらって構わないということだったのか?
今回の契約に関してはその通りです。
Q. 今年の結果というのは、西野さんが作ってきたことだけではなく、いままでのことが積み重なったうえでの状況もある思いますが、他の部分で見直さなければいけない、あるいは責任というものを考えないといけない部分、振り返って総括しなければいけない部分はありますか?
今シーズンを迎えるにあたり、以前からの課題として引き継いでいる部分があるのは事実です。それをベースにチーム統括の体制を、西野さんを中心につくってということでしたが、そこから過去に戻るということは考えていません。西野さんがつくってきたものを引き継いで未来につないでいくことを考えています。
Q. 去年から監督が5人変わり、スポーティングダイレクターも契約満了に。ゲームモデルやフィロソフィーを作るというクラブの根幹にかかわる部分をやってきている人への任命責任はどのように考えている?
そのようなご意見は真摯に受け止めています。当然、結果に対する責任はあると考えています。いまは、我々クラブとしてやるべきことをきちんとやるということに注力したいと思います。
Q. 今後、責任について考えるということか?行き当たりばったりの2年間になってはいないか?F・マリノスのフィロソフィーやサッカーはどこへいってしまうのか?いまはビジョンがないというか計画性がないという風に見えます。
そこをきちんとアウトプットとして見せないといけないと思っています。F・マリノスのアタッキングフットボールを、来シーズンに向けてどのように作り直していくか。きちんとお伝えできるようにしたいと思っています。
Q. 来年以降も中山さんが社長を続けるということか?スポーティングダイレクターがいないということはチーム強化についても陣頭指揮を執っていくということか?
2026シーズンに向けて、いまのチーム統括の体制で進めていきます。西野さんから今シーズン引き継ぐ部分と来シーズンに向けて新たにやる部分に関しては部分的に私も入りながら進めていこうと考えています。
Q. 現チーム統括メンバーをスポーティングダイレクターに引き上げるということは考えている?
そこは考えていません。
Q. スポーティングダイレクターを置かない可能性もあるということか?
いまお答えしたのは12月末までのお話しです。それ以降は置くことを検討しています。
Q. クラブとして来季の編成が進んでいる時期だが、西野さんはいつまでチームに帯同しているのか?
来年の編成については関わっていないです。あくまでもいままでやっていた部分の引継ぎなどをしていただいています。
Q. 発表のタイミングが最適だとおっしゃっていましたが、J1リーグ残留が決まった後が定石だと思うが、ここが最適だと考えた理由は?
J1リーグ残留に向けてトップチームが第一優先であるということは変わらないです。一方で、来シーズンの体制を決めていかなければいけません。西野さんとの会話のタイミングなどを踏まえて考えた際に、今回の発表タイミングに至りました。
Q. 現状を招いた要因の大きなひとつとして監督交代を挙げられていましたが、監督を任命するのはスポーティングダイレクター、スポーティングダイレクターを任命するのは社長。あらためて、そこへの責任についてどのように感じていますか?その責任の取り方や果たし方についてどのように考えていますか?
責任者として、結果の責任は間違いなくあると考えています。その上で、いま私がやるべきことはなにかというと、J1リーグ残留という使命をきちんとやりきるということです。そこに対して、全力を尽くしていきたいです。
Q. この決定に対する監督や選手の反応はどのようなものでしたか?
チームは目の前の試合にむけて非常に良い雰囲気でやっています。監督交代の時や今回もチームや社内にむけて直接、説明する場を設けてきました。
Q. 西野さんご本人はこの判断に納得していたか?
西野さんご自身が話す場も別途あると思いますので、その場でお話しされることもあると思いますが、今回の話のあとも西野さんはいままで通りクラブのためにとやってくれていますし、そこは理解されていると思っています。
Q. アタッキングフットボールに関して今年は跡形もない状況です。この言葉の捉え方や意味合いが何かしらの齟齬を生む原因になっているのではないかと感じています。チームもその言葉を使わなくなりました。アタッキングフットボールを再構築していくということだが、クラブとしてそのあたりをどう見直していくと考えていますか?
ゲームモデルへの落とし込みをしていますが、結果的にそのように戦えていません。今一度、来シーズンに向けては、ゲームモデル内での再定義から始めたいと思います。アタッキングフットボールという旗を降ろすことは考えていないです。


