大島秀夫監督就任会見
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西野努SD同席のもと、横浜F・マリノスの監督に就任した大島秀夫監督の就任会見が、F・マリノススポーツパークで6/24実施された。


このたび、監督に就任することになりました大島です。

多くを言う必要はないと思いますが、この状況を打開するために全部を懸けてなんとか全員で乗り切っていきたいと思っています。

Q:この状況を打開するとあったが、暫定的に指揮を執って、監督という立場に変わったいまの心境は?

前節、岡山戦に向けて指揮を執ったときと比べて特別な心境の変化はありません。この前からそういうつもりで取り組んでいました。

Q:ご自身の監督理想像は?それをどうチームに還元していく?

トップチームで最初に関わったときのアンジェ ポステコグルー元監督には多くの影響を受けていますし、すばらしいサッカーと結果を生み出していたのは事実だと思います。それはもちろん、自分のサッカー像のなかに加わってはいます。もちろん、こういうサッカーをしたいというものはありますが、一番は選手が前向きにアグレッシブにプレーできるというのが大前提で、それを大事にやっていきたい。

Q:ここからJ1リーグ残留にむけて、どのようにアプローチしていく?

難しい状況、順位にいて、勝たないといけない。その中で、元々自分たちが持っている力、例えば選手それぞれのキャラクターを含めて、勝ちを意識するなかで前向きにプレーするには、やはり攻撃的でなければいけないと思っています。

Q:今シーズン、ヘッドコーチから監督に就任ということが2回起こっています。このクラブに長く在籍しているからこそプレッシャーなど感じる部分があると思うが?

オリジナル10と言われている中で、横浜F・マリノスがこういう状況にあってはいけないと思うし、就任にあたりプレッシャーは感じていますが、とにかくやらなければいけない。それは、自分のすべてを投げうってでもクラブのために、そして選手もそれぞれみんな戦っているので、その思いをしっかりと受け止めて、マリノスファミリーの皆さんも同じ思いでいてくれていると思うので、なんとか最後に笑顔でいられるようにやっていきたいと思います。

Q:西野努SDに伺います。昇格人事というものはあると思うが、リーグ全体を見渡したときに決して良いものとして認識されていないと感じます。その中で大島監督にプレッシャーのかかるこの仕事を任せることになった背景は?

大島監督が申したとおり、いまこのチームに必要なのは、個々の選手の能力とチームの力を最大限発揮することだと思います。なにか新しいことを植え付ける時間はないと思っています。いまある力を最大限発揮するためにはということを考えたときに、最善の選択は大島監督にお願いするということでした。

もちろん、一般的な話をすると、今までの経緯や他クラブの事例等を考えるとリスクがあることは認識しながら、いまこのチーム状況を最大限理解して、そこにしっかりとした策を立てていく、そして勝点を積み重ねていくことだけを考えたら難しい決断ではありませんでした。

Q:昨年のジョン ハッチンソン元監督が途中で就任した際に原点回帰したようなことがあったが、それと同じようなことが起こっている。いまポジティブな雰囲気をつくったなかで、この後にどのようなエッセンスを加えたらしっかりと勝てるサッカーができると考えているのか?

昨季も同じような形で昔のやり方に戻して、失点を多く重ねた試合もあり、それに対してしっかりと対策を練るということはありました。自分のなかではそれは良い経験になっていますし、その教訓を生かすことが必要だと思います。攻撃的な中でも、現実的な部分のバランスはしっかりと調整しながら進めていくし、より細かいタスクをしっかりと与えてやっていければ必ず勝点を積み重ねられると考えています。

Q:セットプレーの失点が引き続き多く、積年の課題だが、そこに対してどうアプローチするか?

ここに関しては、練習でいかに自信をつけるかが大事だと思います。

今季もセットプレーでの失点が多いと言われていますが、そのなかで途中から新たに変化を加えて改善に向かっているのは事実です。そこに関しては、細部のところまで全員でそういう意識をもって取り組んでやっていきます。

Q:選手に対してどのようなことを伝えているか?

一番伝えているのは、選手・スタッフ、クラブのみんなで作り上げること。

その姿勢を必ず忘れない。そういう姿勢を全員で持てば、必ず打開できる。

そういう気持ちで取り組まなければいけないという話をしています。

Q:選手から話を聞くと、「ポジティブに」ということを聞くが、やはり前半戦は自信を失っていたということか?

みんなサッカーが好きでサッカー選手になっていると思います。

サッカーをしているときに楽しかったり、前向きにアグレッシブにプレーするということが原点にあると思うので、そこは大事にしなければいけない。人とチームによっては守備的なことでそれを感じることもあるかもしれません。逆の場合もあると思います。選手がそういう気持ちでプレーできる環境と色々なものを与えられればと思います。

Q:明日のFC東京戦は、どのように戦いたいか?

選手がひたむきに躍動して、勝ちたいという思いと楽しむという思いを見せられる試合ができればと思います。

Q:長年、F・マリノスを知る人からするとそういうことがF・マリノスらしさということか?

そこは、サッカーの原点だと思います。

Q:先日の試合ではブラジル人の3人を3トップに置いて、彼らは気持ちよくプレーができたと思いますが、もちろん彼らを特別扱いするわけにはいかないと思います。そこのバランスについて、どのように考えているか?

もちろん、彼らの能力に疑いはありません。チームのバランスというよりは、選手個々の能力もそうですし、チームとしてやらなければいけないこと。そういう部分の要求というのは、ブラジル人だろうが日本人だろうが関係なく求めてやっていっています。先日の試合でも、ヤンやエウベルが自陣深くまで戻ってボールを奪い返そうとしていました。そういう姿を見せてくれましたし、そういうのはブラジル人3トップだからというのは自分の中ではありません。攻撃はブラジル人、守備は日本人。そういう感覚はありません。やってもらわなければいけないことをやってもらう。それをできなければ、それは代えるしかない。そこはフラットに見て、求めるべきことをしっかり求めてやっていきたい。

Q:ヘッドコーチと監督というのは似て非なる役職だと思うが、アプローチ的に変えなければいけない部分は?

それをマネジメントという面でいうと、経験がないと言われればそれまですが、だれでも最初はそうです。急に自分が態度を変えても信頼という意味では変です。基本スタンスは変わらず、選手としっかりと向き合って、同じ目線でやっていこうと思っています。色々な対応をタイミングやシチュエーションに合わせて上手くやっていかなければならないというのは理解していますので、そこは上手くやっていきたいと思います。

Q:大島監督の人となりをもう少しお伺いしたいのですが、口うるさくものを言うタイプなのか。人との接し方についてどのようなやり方をするのか?

どちらかというと選手と近い距離感でコミュニケーションは個人間でやっていく。

厳しく「こうだ!」というのはピッチの中では要求しますが、それ以外の部分はフランクな形で接し合えているし、その雰囲気は大事だと思います。ピッチ内では厳しくしているし、そこに対しての甘えや緩さは自分の中ではなしという振る舞いをしています。

Q:残留というのが最大の目標だと思うが、そこに向けたひとつ前の目標や掲げているものはあるか?

残留の指標というところで勝点40~41というところは計算しています。今年はやはり点がとれていない。点がとれないと勝点はとれない。まずは、点をとるという意識をみんなで掲げていくということはいま取り組んでいるところです。

Q:大島監督のなかでのアタッキングフットボールとは?

アタッキングフットボールは、細かいやり方や戦術はそれぞれあると思いますし、自分のなかでもあります。

何回も申し上げているとおり、選手が躍動する姿を見て、ファン・サポーターの皆さんが感動する。大きく言えばアタッキングフットボールとはそのようなものだと思います。

Q:大島監督のなかでは、勝点1では足りない状況まで来ている。勝点3が最大限必要なので、攻撃的に舵を切るという考えでしょうか?

もちろん攻撃的に点をとらないと勝てないのはそうです。ただ、それは守備の割合を低くするということではありません。やることをもっとはっきりとさせる。攻めているときでも守備の約束事をチームとしてしっかり高める。得点が上がっても、失点がそれ以上では意味がない。

Q:秀夫さんから監督と呼び名は変わったか?

「監督!」と言ってくる人はだいたいふざけている(笑)。

いまのままで良いと思います。

Q:残留争いのライバルとなるチームと対戦が続くので、ここが山場だと思うが、明日の試合やこれからのリーグ戦に向けてどのような戦い方をしていきたいか?

直接、残留争いに関わってくる相手ですし、シンプルに勝点3をとりにいかないといけない試合だと思います。

あとは連戦で、怪我人が多かったり色々な状況があるので、全員でそこを補い合って、手を取り合って、背中を押し合って、全員で泥臭くても勝点3をなんとかもぎ取っていく。その中で選手が躍動して、一生懸命戦うということが大事になってくると思います。

Q:宮市選手やキニョーネス選手など練習に復帰している選手もいるが、怪我人の状況について?

まだメディカルから今日までの最新状況を聞いていないので、何とも言えないですが、今日も良い動きをしていたなと思います。

Q:明日のFC東京の監督である松橋力蔵さんと対戦することについて?

特別な感情というものはそこまでありません。

本当に目の前のことをまず1つひとつというところで、自分の感情どころではないので、試合のこと、勝点3をとることだけを考えています。

Q:FC東京は、左サイドからドリブルで仕掛けてくるイメージがあるが、先日の岡山戦でも佐藤選手が仕掛けてきた局面で苦しみ後手にまわった印象があったが、明日の試合ではどこがポイントになるか?どのような部分に気をつけたいか?

相手の強みは分かっているので、そこをいかに出させないかがポイントだと思います。もし、そこにボールが入ってしまっても、全員でハードワークをして自分たちのやるべきことは整理しています。まずは良い状況を作らせないということだと思います。