西野努スポーティングダイレクター会見全文
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6/20 F・Marinos Sports Park -Tricolore Base Kurihama-にて、パトリック キスノーボ監督退任に関する西野努スポーティングダイレクターの会見が行われました。


キスノーボ監督と双方合意のもと退任ということになりました。本日はみなさまのご質問にお答えできればと思います。お答えできない部分もありますが、できる限り回答できればと思います。

Q:今回の退任の経緯と、シーズン中2度目の監督交代となった自身の責任について

退任の経緯については、いくつかの理由があります。本人の個人的な事情もあり、その点はお話できないのでご理解いただければと思います。

2度目の監督交代は、本当にあってはならないことだと思いますし、一方でファン・サポーターの前で今シーズンできる限りのことをすると約束しました。

もちろん、100%すべてが監督の責任、原因ではないと思います。それは、ホーランド監督解任の際にも選手たちとスタッフに話してきました。

一方で、大きな要因があることは容易に理解いただけると思っています。今回、ここから這い上がっていくために、次へ進むための議論を重ねてきまして、監督本人とも話をし、次に進んでいくという決断をしました。2度目の監督交代ということは、重く受け止めています。だからといって、その回数を気にしてチームを良くする可能性に対して挑戦をしないという結論はないと思います。

責任という言葉の定義を改めて考えています。任命責任という言葉もありますし、チームを良くしていくという責任もあると思います。

自分自身はチームに貢献できると強く信じて仕事をしていますので、途中でそれを投げ出すということは責任を放棄していると考えています。

Q:今後の監督選定について

なかなか話せないことなのでご理解いただければと思いますが、、いま一番重要なのは、キスノーボ監督就任の際に、チームの空気を変えること、そして一人ひとりの選手がパフォーマンスすることを申し上げたと思います。そこは、変わりません。結果的にはホーランド監督からキスノーボ監督の時間にかけて、チームの雰囲気を大きく変えることは、いまはできなかったと考えています。

空気を変えることというのは、選手一人ひとりがしっかりとサッカーを楽しんで、対戦を楽しんで、そして自分たちのサッカーを信じてくれることだと思います。

選択肢はそれほど多くありませんが、そういったところを重視して、現在準備しているところです。

Q:後任について具体的な名前が挙がっていたなかで、クラブとしてどのような交渉や準備を進めてきたのか?

準備は常に進めてきています。その濃度や密度は時間軸で違ってきますが、今回も複数の候補者をたてて、準備を常にしているなかで、その濃度・濃淡をあげてきていたことは事実です。

それがこのような状況となり、3人目の監督を決める段階になってきています。

Q:現状のチームの成績やサッカーの内容がクラブとして変えなければいけない状況だったか?

キスノーボ監督時代のチームのパフォーマンスや練習を振り返ったときには、最善のもの、そして期待通りのものであったと言えなかった。もちろん結果もそうです。

Q:退任の少し前からサッカーの内容を変えてきていたように思うが、今後もそれを継続していくのか?それともそこを変えたところが退任の理由か?

戦術的な話をどこまで深くするかは難しいです。

例えば、鹿島戦や町田戦は本当に良い形にしてくれたと思います。前から相手が仕掛けてくるチームに対しては、そうしたダイレクトなより前へシンプルに運ぶサッカーが適しているし、それが功を奏した。

ただ、どんなチームに対してもそんなサッカーをするということではないことを理解していただきたい。一方で強いチームはどんな対戦相手に対しても、自分たちの軸となる戦い方があって、そのもとで対戦相手によって適応していく、対応していく、試合前・試合中。そこが優れた戦術をもったチーム、監督だと思いますので、そういった点では十分でなかったと思いますし、スタイルをガラッと変えたということの正しい表現ではないと考えています。

Q:2度目の監督交代に関して選手たちの受け止め方は?一部選手へのオファーがあるという情報もあるが?

正直に言うと、監督そしてチームのスタイルと選手の相性については、20~30の選手がいれば個々の受け止め方があるので、全体としてどうかというのは言えないと思います。

一方で個々の選手がパフォーマンスをしていない、チームの戦い方が定まらず、ピッチ上で選手に迷いが生じるというのは、試合に出る選手たちも結果が出なければ楽しくないし、充実したものではありません。

勝てないという状況に対してのストレスはもちろん選手たちもあります。そして、監督の交代というところでいうと、選手、チームスタッフ、クラブ全体がそこに合わせなければいけないので、色々な順応があり、そこでかかるストレスというものもある。監督が代わることで、起こるプラスの作業、メンタル面・フィジカル面含めて調整があるので、そこに対してポジティブな選手はいないと思います。

できれば優秀な監督のもとで長年やるというのが良いですが、半年に2回監督が代わるということだけを見るとポジティブと捉えている選手はいないと思います。

そういった意味では、チームにとっても自分自身にとっても監督を代えるということは、ネガティブなインパクトがあることは確かです。

一方で、クラブにとっては大事なことがあって、そのためにしなければならないことにみんなで取り組んでいこうと発信しているところであります。

選手の出入りについては、就任時にも申し上げていますが、これからはウィンドウ毎にどんどん増えていくという環境要因があると思います。

選手の出入りとチーム状況が関連していることがある状況もあると思いますし、ない場合もあります。

今回、報道で出ている内容がそこに繋がっているかと問われれば、繋がっているかもしれないし、全く繋がっていないかもしれないし、そこは一概に言えないです。

Q:アンデルソン ロペス選手やヤン マテウス選手については、今の状況的に放出できるレベルの選手ではないと考えるがどうか?

基本的には、いまこのタイミングで主力の選手を喜んで出すということはありません。

個々の選手の話ではなく、全般的な話ですが。

与えられたミッションは、この夏のウィンドウでチーム力を上げるということなので、そこにむけていま取り組んでいる状況です。

Q:西野SDの希望としてはどうか?客観論で答えてもファンに伝わりにくい部分もあるが、選手に対しての思いなどは?

自分の主観ですべてがまわれば喜んでお答えしますが、個人の主観でどうこうできる問題ではないですが、もちろん主観として伝えるべきところは選手個人に伝えますし、

主力選手はこのチームにいるべきだと思いますし、いてほしいと思います。細かい話になりますが、契約形態にもよりますし、今回のキスノーボ監督のように個人の事情もあります。

そして、チームがこういう状況になると選手の気持ちが少し外に向くというのは容易に想像できるところです。そういったところをどう判断していくかというのがクラブとして求められている。

自分は、ブラジリアン3選手のファンですし、彼らの脅威を受けてきたチームにいましたし、彼らのフルパフォーマンスが大事だとシーズン当初から思っていましたし、

そういった意味では自分は彼らの大ファンだと伝えてきています。その中で、クラブとして合理的な判断をしないといけないというのが、苦しいところでもあります。

Q:大島秀夫ヘッドコーチについては、岡山戦とFC東京戦までは指揮をとる?

そう思っていただいていいと思います。

Q:新監督については同時並行で考えている?

できるだけ早くと考えています。

Q:大島コーチも候補のひとりか?

そうです。キスノーボ前監督選出の際にも候補のなかに入っていました。

Q:どのタイミングから監督交代を考えていた?

6試合で3勝と話したタイミングでは、そこがベンチマークになると思っていたので、それが達成できなかった時点で、先ほどお話した準備の濃度と密度をあげました。

Q:結果がでなかったホーランド監督時代のヘッドコーチを、そのまま監督に上げたという判断についていまはどう思っているか?

いまの結果をみたら、ホーランド監督の選任とキスノーボ監督の選任というのは失敗だったと言わざるを得ないと思います。結果だけを考えるとそういうことになると思います。

Q:そうなると大島ヘッドコーチが新監督候補のひとりに挙がっているが、毎回ヘッドコーチを上げていると本当の意味で空気を変えることは難しいのではないか?

おっしゃる通りのところもあります。ただ、いまこのタイミングで試合がすぐに迫ってくる中、まだたくさんの試合があるなかで、例えば新しい外国籍監督を連れてくるとなった場合、その監督がJリーグや日本人選手の指導経歴があればまだ良いかもしれませんが、今回のホーランド監督やキスノーボ監督のように初めての方を日本に連れてきて、初めてJリーグの舞台で指導をしてもらうということの方がリスクがあると考えました。

いまの現状のスカッドをフルパフォーマンスされるという点が優先順位が高いと思っていますので、そういった視点では国内の経験者、そしてできれば日本人と考えています。

Q:今回の決断や判断に関して、CFGと連携して取り組んでいるのか?

もちろんCFGとは非常に近い関係性を持って、選手のリクルート、チームに大きな影響を与える監督のリクルートに関しては、基本的には横浜F・マリノスが独自に決める体制になっていますが、彼らのアドバイスや情報、日常的なコミュニケーション、クラブと彼らの幹部を交えたミーティングがありますので、そういった場で意見交換をしている。

Q:いっきに監督選定の濃度を上げたタイミングあったとありましたが、報道でも名前が挙がっていた方がいたが、契約が最終的に折り合わなかった要因は?

そこは、相手もありますしお話できない内容です。

Q:シーズン当初と比べて、コーチ陣もいなくなっていっていて人が限られている状況。監督以外の人材の刷新や登用とどのように進めるのか?

短期的なところを中期的なところを分けた方がいいと考えています。

いまは、この先半年でいかにチームがパフォーマンスすることをだけを考えて対処したり、編成をしようと思っています。

コーチングスタッフももちろん足りていないので、補充する作業をしているところです。アカデミーから金子コーチがトップチームにきてくれたこともひとつですし、アカデミー含めてオールマリノスでトップチームを支えようとしてくれている。外部からも連れてくることもあります。

Q:こういう状況になると出てくる情報がネガティブになりがちで、本来出てきてはいけないようなものがどこからか出てきている状況だと思いますが、そのあたりの管理については、ファン・サポーターはどのように受け止めれば良いのか?

会社としては、機密情報の扱いについては、契約書にしっかりと明記されている。

そこについては契約する度に伝えています。そして、今回に関しては改めて社内で業務委託のスタッフに対しても、直接文書で社長から注意喚起するという対処をしてもらっています。

世の中を騒がせていることは認識していますが、人気の裏返しと受け止めています。

事実であることが、なにか決まったときには、決まったことをすぐに伝えられる体制をとっています。

チームへは自分から、その他社内へは社長や広報からですが、しっかりと社内でのコミュニケーションを密に、頻繁に即時行うことにして、社外での騒ぎで不信や不安というものを持たないような努力をしているところです。ファン・サポーターの方に対しても、クラブから発表されたことがすべての事実です。もちろん事前に出た情報が、事実と一致しているところもあるかもしれませんし、一致していないところもあります。クラブからのアナウンスをしっかり注目していただければと思います。

Q: いま一番気をもんでいるところは?

この夏の編成です。

すごく大事になるので、日々やっているところです。

チームスタッフたちが本当に元気に明るくトレーニングをしてくれているので、そこが救いになっています。

Q:リーグ戦残り半分ですが、残留に向けて夏のウィンドウが大事だという話がありましたが、どのような数値設定や考え方で臨んでいこうとしているか?

勝ち点40というのがひとつのラインだと考えています。勝率5割というところ。

そのためにまずは、監督を代えるという決断をしました。プラス選手の獲得。

それ以外については、いま特に申し上げるところはないと思います。

Q:今シーズンに入ってから多くの選手が怪我をしている状況だと思うが、SDとしてどう捉えているのか?監督の裁量だから仕方がないのか?クラブとしてはそこは看過できないのか?

昨年の就任会見や新体制発表会で、選手のマネジメントが大事になると申し上げていたとおり今シーズンの最重要項目のひとつでしたし、それはいまも変わりません。

一方で、結果が出ず目の前の一試合に最大の結果を出さなければいけないプレッシャーを二人の監督が感じ続けていたことは否定できません。

そこに対して、連戦でのマネジメントについて、もちろん話をしてきましたし、メディカルスタッフもモニタリングしながら監督にしっかり伝えてきたのは事実です。

ただ、最終的に試合のメンバーを決める権限は監督にあり、そこに対して自分がどこまで介入して、どこまで指示をするかという難しさはいまもありますし、感じ続けてきたところです。

結果論になりますが、連戦に出場し続けてきた選手が大怪我をしているというのはありますので、そこに対してしっかりとした対応・対策は始めていますし、選手を守るという意味ではやらなければいけないところです。

Q:先日の天皇杯では、0-2で負けているところで高校生を出場させたことに対してはフロントとしてはどう捉えているか?

もちろん、理想的なデビューではなかったと思います。

正直、ここで使うのかと驚きました。

かといって本人にとってはチャンスだと思います。

試合の結果が良くなかったですし、結果的には起用の仕方についても振り返るとどうだったのかということもあると思います。

自分はあのような年代の選手にチャンスを与えるべきチームであって欲しいと思っていますし、そういうチャレンジをする監督であってほしいと思っています。

そういうチャレンジをしたというのは評価できますし、彼はあの試合で自分が一番ポジティブな評価をした選手のひとりです。

Q:夏の補強では、当然資金が必要だと思いますが、親会社である日産自動車の経営状況を考えると影響があるか?

親会社の財務状況は、今回に限らず常に影響するものだと思っています。

ただ、いまのクラブの状況を踏まえて、最大限のサポートをしてもらえると思っています。